孔雀明王(くじゃくみょうおう)。
密教の 仏様で、毒蛇を食べる 孔雀が神格化された存在です。
人々を苦痛や災難から救う「明王」の尊格を持ちながらも、怒るのではなく菩薩のような慈悲深い表情をしているのが特徴です。
また、雨乞いの儀式にも用いられ、雨の到来を知らせる恵みの雨をもたらす神としても崇められます。
《特徴》
・孔雀の神格化:古代インドでは毒蛇を捕食する孔雀が、煩悩や毒を取り除く存在として崇められていました。
これが仏教に取り入れられ、孔雀明王となりました。
・女性的な姿:元々は女神であり、仏母大孔雀明王菩薩とも呼ばれるように、仏教に取り入れられた後も女性的な優しい顔立ちで表現されることがあります。
・怒らない明王:明王の中では唯一、怒りの表情を見せず、慈悲深い菩薩のような顔で描かれます。
・孔雀に乗る:羽を大きく広げた孔雀が描かれ、孔雀自体も仏様と一体化して光背(こうはい)のように輝くこともあります。
《ご利益と信仰》
・厄除け・息災:煩悩や恐怖、災い、苦痛などを追い払い、人々の安泰をもたらすとして信仰されています。
・雨乞い・恵み:インドで孔雀が雨季の訪れを告げる鳥だったことから、日本では祈雨法(雨乞いの儀式)の本尊として祀られました。
・学問・技術の伝承:孔雀明王経は平安時代から重要視され、特に 弘法大師空海の真言宗では重要な修法とされています。

